Ryzen 9000シリーズの性能を比較!Core iと比べて消費電力・発熱量が低い


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最終更新日:2024年8月25日

Ryzen 9000シリーズの特徴

Ryzen 9000シリーズとは

Ryzen 9000シリーズとはAMD社のCPUです。

「Ryzen 5 9600X」、「Ryzen 7 9700X」、「Ryzen 9 9900X」、「Ryzen 9 9950X」が現在販売されています。

「Zen 5」アーキテクチャを採用し、製造プロセスにTSMCの「N4X(4nm)」を採用しています。

Ryzen 9000シリーズとCore iシリーズの違い

コア数TDP
Ryzen 5 9600X6コア65W
Ryzen 7 9700X8コア65W
Ryzen 9 9900X12コア120W
Ryzen 9 9900X16コア170W
(参考)Core i7-14700K20(Pコア×8 + Eコア×12)125W~最大253W
P = Performanceコア(高性能コア)、E = Efficientコア(高効率コア)

Ryzen 9000シリーズは消費電力・発熱量が低いがCore iとほぼ同じ性能

Ryzen 9000シリーズの特徴はIntel Core iシリーズよりも消費電力が低いにも関わらず性能がCore iシリーズと同じくらい高いことです。

Core iシリーズは消費電力がどんどん上がっています。最新の第14世代Core iシリーズの「Core i7-14700K」や「Core i9-14900K」ではベースパワー125Wから最大ターボパワー253Wにまで到達しています。

一方でRyzen 9000シリーズは

  • Ryzen 5 9600X:65W
  • Ryzen 7 9700X:65W
  • Ryzen 9 9900X:120W
  • Ryzen 9 9950X:170W

となっていて、Core iシリーズの半分程度となっています。

しかしRyzen 9000シリーズは消費電力が半分にも関わらず、性能は第14世代Core iシリーズとほぼ同じか、ソフトの処理内容やゲームによってはRyzen 9000のほうが処理能力が高いものもあります。

消費電力・発熱量が低いのはZen5の4nmプロセスルールを採用しているから

なぜRyzen 9000シリーズは低電力で高性能を可能にしたかというと、Ryzen 9000から新しく採用しているZen 5 CPUアーキテクチャではZen5ではTSMC社の4nmプロセスルールを採用しているからです

これはIntelで採用されている10nm、7nmプロセスなどより短くなっています。

なのでRyzen 9000シリーズは消費電力が低く性能が高くなっているのです。

近年Core iシリーズは消費電力を上げて性能を上げています。なので発熱量も高くなっています。また近年Core iシリーズが壊れやすくなっているのは消費電力を上げすぎたせいではないかと言われています。

壊れにくい安心安全で発熱量が低いCPUを求めている方はRyzen 9000シリーズがおすすめです。

Ryzen 9000シリーズの性能比較

AMD公式による性能比較

AMD公式のベンチマーク測定によると、Core i9-14900KよりもRyzen 9 9950Xのほうが最大で56%上回っているとしています。

PassMarkスコアによる比較

性能
(スコア)
第14世代Core iCore Ultra 200SRyzen 7000Ryzen 9000その他
(ノートPC用など)
67000Core Ultra 9 285KRyzen 9 9950X
65000Core i9-14900KS
64000Ryzen 9 7500X
61000Core i9-14900K
59000Core Ultra 7 265K
55000Core i9-14900Ryzen 9 9900XRyzen 9 7945HX
53000Core i7-14700K
52000Ryzen 9 7900X
50000Ryzen 9 7900
46000Core i7-14700Core i9-14900HX
45000Core i9-13900HX
43000Core Ultra 5 245K
40000Core i5-14600KApple M3 Max
38000Core i5-14600Ryzen 7 9700X
37000Ryzen 7 7700XCore i7-14700HX
35000Core i5-14500Ryzen 7 7700Core i7-13700HX
32000Ryzen 7 7745HX
30000Core i5-14400Ryzen 5 9600XCore i9-13900H
29000Core Ultra 9 185H
28000Ryzen 5 7600XCore Ultra 7 165H
27000Ryzen 5 7600Core i7-13700H
26000Apple M3 Pro
20000Apple M3
15000Apple M2

PassMarkのベンチマークスコアはCPUの基本的な動作をスコア化

PassMark社のベンチマークスコアはCPUの基本的な動作をスコア化しています。

PassMarkベンチマークの測定内容は整数演算、浮動小数点演算、圧縮、暗号化、物理演算、ソート、単一スレッド性能という様々なソフトで行われている処理を測定しているので、CPUの基本的な性能がわかりやすくなります。

ただしPassMark社で公開されているスコアは多くの人が計測した結果の平均値です。つまり様々な環境で行われているのでスコアが変動し、測定結果によってはスコアが大きく変動し順位が変わることがあります。
純粋にCPUだけを比較したスコアを知りたい場合、同一の条件で計測している結果を参照する必要があります。
といっても多くの人が計測した平均ということは、普通の人がそのCPUを搭載したPCを一般的な状況・スペックで使用して出せる性能ということになるので参考になります。

Ryzen 9000シリーズのスコアをCore iと比較

PassMarkスコアを見るとまず「Ryzen 9 9950X」はやはりすべてのCPUの中でスコアが高いです。Ryzen 9 9950Xはベースクロック4.3Ghz、最大クロック5.7GHzのコアが16基搭載されているので、とても性能が高くおすすめです。

とにかくパソコンの処理能力を上げたい、とにかく動作を安定させたい方は最上位の「Ryzen 9 9950X」がおすすめです。

「Ryzen 9 9900X」はCore i9-14900とほぼ同じスコアとなっています。他のCPUと比較するとCore i9-14900K以下、Core i7-14700K以上なので順当な結果と言えるでしょう。

こちらもパソコンを高速化・安定化させたい方、動画編集ソフトなどのクリエイター向けソフトを本格的に使用したい方、3D・VR系ソフトを使用したい方、ゲーム配信をしたい方などにおすすめです。

「Ryzen 7 9700X」はRyzen 7000シリーズのRyzen 7 7700Xとほぼ同じでCore i5-14600レベルというのが少し気になります。Windowsアップデートにより改善することを期待します。

ですが性能的には動画編集、イラスト制作、画像編集、DTMなどを満足にすることができるので、消費電力・発熱量が低く抑えてクリエイティブな作業に使用したい方はRyzen 7 9700Xはおすすめです。

「Ryzen 5 9600X」はCore i5-14400とほぼ同じで、スコア的にも30000を超えています。ゲームをプレイするには十分な性能がありますし、動画編集、イラスト制作、DTMなどのクリエイター系ソフトもある程度できます。

ゲームメインでクリエイティブな作業もある程度したい方などにおすすめです。

Ryzen 9000シリーズのスコアをRyzen 7000シリーズと比較

Ryzenシリーズで比べてみると「Ryzen 9 9900X」、「Ryzen 9 9950X」、「Ryzen 5 9600X」はRyzen 7000シリーズを超えています。

ですがRyzen 7 9700XはRyzen 7 7700Xとほぼ同じスコアになっています。

一方でシングルスレッド性能だけ見るとRyzen 9000シリーズはRyzen 7000シリーズよりも大幅にスコアが上がり、さらに第14世代Core iシリーズも超えています。

シングルスレッドの性能が高いことは様々なソフトで恩恵を受けると思われます。シングルスレッド優位なソフトを使用したい方におすすめです。

Ryzen 7 9700Xの消費電力はRyzen 7 7700Xの半分近くなのに同じ性能

スコアだけ見ると「Ryzen 7 9700X」と「Ryzen 7 7700X」の性能はほぼ同じということになるので物足りない気持ちになりますが、実は消費電力量が大きく違います。

Ryzen 7 7700Xは消費電力が105Wですが、「Ryzen 7 9700X」はなんと65Wしかありません。半分近くまで消費電力が低いのにもかかわらず同じくらいの性能を出せているということになります。

「Ryzen 7 9700X」は性能をもとめるというよりも、消費電力の低いことで発熱量を減らせるということになるので、安定した動作を求めている方におすすめです。また消費電力が低いことで電気代も減らせるということになります。もちろん性能的には動画編集、イラスト制作、DTMなどを満足にできる性能があります。

Puget System社のベンチマークによる比較

Puget System社はソフトウェアのベンチマークを開発しスコアを公開している

Puget System社はカスタムコンピューター製作会社、日本語で言うBTOショップです。

Puget Systemはパソコンだけでなく、ユーザーが使用するソフトにまで気を配り、その一環として独自にソフトウェアのベンチマークを計測するソフトを開発しソフトを満足に使用できるパソコンを製作しています。

そしてPuget Systemではウェブサイト上でそのベンチマークソフトやベンチマークスコアを公表しています。

多くのソフトでは順当な結果

AMD Ryzen 9000 Content Creation Review」ページによると多くのソフトで「Ryzen 5 < Core i5 < Ryzen 7 < Core i7 < Ryzen 9< Core i9」という順番で性能が高くなっています。

これはPassMarkスコアの順番と一致しているので順当な結果と言えるでしょう。

3D・VR系ソフトではRyzenがスコアを上回っている

一方でRyzenシリーズのほうが有利なソフトもあります。Ryzenシリーズは「Blender」、「V-Ray」、「Cinebench」などの3D・VR系ソフトで有利となっています。

これらの3D・VR系制作ソフトを使用したい方はRyzenシリーズを選択するのがおすすめです。

Adobe製品はCore iのほうがおすすめ

また今回「Adobe Photoshop」はRyzen 7000シリーズを含めてRyzenシリーズのほうがかなりスコアが高くなっていますが、Ryzen 7000の時代の結果ではRyzenシリーズのほうがスコアが低かったです。どうしてこのような結果になったかはわかりませんが、PhotoshopやWindowsのアップデートなどが要因の可能性があります。

ですが全体的に見るとAdobe製品はCore iシリーズのほうが有利なので、Adobe Creative CloudなどでPremiere Pro、Lightroom、After EffectsなどのPhotoshop以外のソフトを使用する場合はCore iの搭載が無難でしょう。

以前のスコアを見るとAdobe製品は長い間Core iシリーズのほうが大幅にスコアが高いという状況が続いているので、Adobe製品を使用したい方はCore iの搭載がおすすめです。

※Ryzen 9000はAMD公式レビューほど性能が出ない? Windows 11 24H2で解消か

+Digitalの記事「Ryzen 9000、AMD公式レビューほど性能が出ない? Windows 11 24H2で解消か」によると、現在市販品を用いたレビューの結果にはAMD公式スコアには届かないという指摘がされています。

この原因はAMD社がスコア計測のテストに使用したWindowsのバージョンがベータ版Windowsだったためとしています。

ベータ版WindowsではAMDのRyzenシリーズなどに最適化されているのでAMD CPUの処理能力が上がり一般のレビュアーよりもスコアが高い結果となっていたとのことです。

そして最新のWindows 11 24H2ではAMD CPUの最適化が適用されているので一般の方でも問題なく公称値に近い性能を出すことができるようになるようです。

つまり最新バージョンのWindowsがリリースされればRyzen 9000の処理が最適化され性能が上がり、ベンチマークのスコアもさらに上昇する可能性があります

もしかするとRyzen 9000シリーズの性能が第14世代Core iシリーズとほぼ同じになるか、超える可能性もあります。

多くのベンチマークスコアはベータではないWindowsを使用していると思われるので、このページに書かれているスコアからさらに高くなる可能性があります。


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