メモリ増設は自分でやると安い?BTOの変更料金・工賃・失敗しない選び方

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最終更新日:2026年9月10日

「メモリ容量の少ないPCを安く買い、あとから自分で増設する」方法は、節約につながることがあります。ただし、どのPCでも総額を抑えられるわけではありません。

自分で増設したほうが得かどうかは、いくつかの条件で決まります。現在のメモリ構成や追加する部品の価格、作業と動作確認にかかる時間、将来必要になる容量などです。

同じ16GBから32GBへの増設でも、必要な費用は同じではありません。16GBを1枚追加する場合と、16GB×2枚セットへ交換する場合では、支出が大きく変わります。空きスロットがあっても、4枚構成では今のメモリ速度を保てない場合があります。

この記事では、BTOの公式変更料金、市販メモリの販売価格、専門店の取付料金を分けて比べます。さらに、作業に何時間かかると節約分がなくなるのかも計算します。将来64GBへ増設する場合、いくらまでのメモリなら得なのかも確認します。

価格・料金・在庫表示の確認日:2026年8月31日。金額は税込です。掲載価格は確認時点の個別例で、市場最安値や相場の平均を示すものではありません。実機での相性検証・性能測定は行っていません。独自計算や仮定を用いた試算には、その旨を明記しています。

結論:自分で増設すると安いのは「必要な部品を少なく買える人」

買い足すメモリが少なく、対応する製品や作業手順も分かっている人ほど、自分で増設するメリットは大きくなります。

状況優先して比較したい方法理由・注意点
16GB×1枚で、適合する16GBを追加できる自分で1枚追加する既存メモリを生かせる。ただし混在時の動作確認が必要
8GB×2枚で、スロットが2本しかない購入時の32GB変更と、16GB×2枚への交換を比較必要なのは追加16GBではなく、新しい32GB分のメモリ
すぐに仕事で使い、トラブル対応に時間を取れない購入時の容量変更、または32GB標準モデル到着後の取り付け・検証を減らし、問い合わせ先をまとめやすい
今のPCを使い続けたいが、分解に不安がある購入店・専門店の増設サービス部品代に加え、工賃・持込料・送料の見積もりを取る
メモリがオンボードで、交換用スロットもない購入時に必要容量を選ぶ一般的なメモリモジュールの買い足しでは増設できない

新しくPCを買う場合は、3つの方法を比べます。「購入時に容量を増やす」「自分で増設する」「必要な容量を標準搭載した別モデルを選ぶ」です。すでに持っているPCなら、購入時のカスタマイズ料金ではなく、今使える増設サービスの総額と比べてください。

BTO各社の購入時変更料金を詳しく比べたい場合は、BTOパソコンはメモリ32GBへ変更するといくら高くなる?で確認できます。

買う前に確認:その遅さはメモリ不足が原因か

メモリに余裕があるPCでは、容量を増やしてもCPUの計算性能やGPUの描画性能は上がりません。

メモリは、作業中のデータを広げておく机のようなものです。机が広くなれば、資料を出し入れする回数は減ります。ただし、作業する人にあたるCPU自体が速くなるわけではありません。

まず、普段重いと感じる作業を実際に行います。そのうえで、「タスク マネージャー」の「パフォーマンス」を開き、メモリ・CPU・ディスク・GPUの使用状況を確認します。何も起動していない状態だけを見ても、メモリ不足かどうかは判断できません。

確認できた状況判断と次の行動
複数アプリを開くと使用可能メモリが少なくなり、切り替え時に待たされる容量不足を疑う。アプリを減らした場合との違いも確認する
メモリに余裕があり、書き出し中にCPUやGPUが高負荷になるメモリ増設だけでの改善は期待しすぎない。処理設定やCPU・GPUも確認する
ゲームや3DCGでGPUの専用メモリが不足するRAMとVRAMを分けて考える。RAMを増やしてもGPUの専用VRAM容量は増えない
ディスク使用率が高いメモリ不足による読み書きだけでなく、更新・同期・ストレージ側の問題も確認する

メモリ使用率が一時的に高くなっただけでは、「容量不足」とは言い切れません。Windowsの「コミット済み」も、物理メモリの使用量そのものではありません。Microsoftは、コミット上限を物理メモリとページファイルの合計と説明しています。RAMを増設したあとも、ページファイルを一律に無効化する必要はありません。出典:Microsoft:ページファイルの役割

必要容量から決めたい方は、メモリ16GB・32GB・64GBの用途別の選び方を先に確認してください。

同じ16GBから32GBでも「買う容量」が違う

32GB化で比べるべきなのは、増える容量ではありません。実際に購入するメモリの容量と枚数です。

現在の構成32GBにする方法新しく買う容量注意点
16GB×1枚・空きあり適合する16GBを1枚追加16GB既存品との組み合わせを確認する
8GB×2枚・2スロット16GB×2枚へ交換32GB元の8GB×2枚が余る
8GB×2枚・4スロット8GB×2枚を追加16GB4枚時の対応速度・安定性・混在条件を確認する
8GB×2枚・4スロット16GB×2枚へ交換32GB2枚構成を保てるが、部品代は増えやすい
オンボード16GB・交換用スロットなし通常の方法では増設不可購入しない「最大32GB」が上位モデルの構成を指す場合もある

たとえば、8GB×2枚を搭載したPCで「16GBを1枚買えば32GBになる」と考えるのは注意が必要です。スロットが足りなかったり、想定外の3枚構成になったりするためです。オンボードメモリと交換式メモリを併用するノートPCもあります。機種ごとの構成表を確認してください。

取り外したメモリを売る予定でも、比較するときは売却額をいったん0円にします。実際に売れたあとで、販売手数料と送料を引いた手取り額を反映します。こうすれば、節約額を大きく見積もりすぎずに済みます。

実売データで比較:自分で増設するほうが高くなる場合もある

市販メモリが、いつもBTOの変更料金より安いとは限りません。部品だけの価格と、標準構成からの変更差額は分けて比べます。

確認できた市販メモリの価格

以下は、2026年8月31日に各商品ページで確認した価格例です。すべてのPCで使える製品をまとめたおすすめ一覧ではありません。

製品・販売ページ規格・容量税込価格確認時の表示
SanMax SMD5-U16G88M-56B/アークDDR5-5600・16GB×1枚・1.1V44,880円在庫あり・送料無料
ADATA AD5U560016G-DT-I/アークDDR5-5600・16GB×2枚・1.1V74,800円在庫あり・送料無料
CFD W4U3200CS-16G/ツクモDDR4-3200・16GB×2枚・1.2V35,979円在庫限り・24時間以内に出荷・送料無料

DDR4とDDR5には互換性がありません。そのため、35,979円のDDR4製品を、DDR5搭載PCの増設費用として比べることはできません。比べている製品はブランドも異なります。1枚と2枚の価格差だけで、メーカーの利益率や性能差を判断することもできません。

比較の参考として確認したNEC LAVIEの費用解説では、DDR5の16GBは1枚8,000~15,000円という目安が掲載されています。一方、今回確認したSanMaxの個別製品は44,880円でした。これは同一製品の値上がり率を示した比較ではありません。容量別の価格目安だけを見ても、実際に購入する製品の支払額までは判断できない、という例です。

セール価格や在庫、配送条件は変わります。検索結果に出た価格だけで判断せず、商品ページと注文直前の総額を確認してください。

同じBTOの変更料金と比べると、買い方で結論が逆転する

16GBを1枚追加できる場合と、32GB分を丸ごと買い直す場合では、必要な費用が違います。同じ購入時変更料金と比べても、どちらが安いかは逆転します。

サイコム「Aqua-Master Z890」の公式構成画面では、標準メモリはDDR5-5600・16GB×1枚です。メジャーチップ・JEDEC準拠品を選ぶと、次の変更差額を確認できました。

選択するメモリ標準16GB構成からの税込差額
32GB・16GB×2枚・DDR5-5600+55,880円
64GB・32GB×2枚・DDR5-5600+106,530円

出典:サイコム Aqua-Master Z890 公式構成画面。PC全体の価格ではなく、メモリ項目の選択差額です。

この55,880円を基準に、先ほど確認した市販価格で計算すると、結果は次のとおりです。

自分で32GB化する方法部品代購入時変更との差
適合する16GBを1枚追加でき、44,880円で購入できる場合44,880円自分で増設するほうが11,000円安い
既存メモリを外し、74,800円の16GB×2枚セットへ交換する場合74,800円自分で交換するほうが18,920円高い

これは、実売価格を使った条件付きの費用計算です。上記の市販メモリを、サイコム製PCで動作確認した結果ではありません。標準メモリの型番や組み合わせが合うかは、別に確認が必要です。この表には、送料・工具代・売却額・作業時間を含めていません。

容量・速度表記・最終的な2枚構成はそろえています。ただし、部品の型番やPC全体の動作保証まで同じ条件ではありません。16GBを1枚追加できないPCでは、安いほうの計算だけを当てはめないでください。

独自計算:何時間かかると節約額がなくなる?

自分で増設するかどうかは、部品代の差だけで決めなくてもかまいません。選定・取り付け・動作確認に何時間まで使えるかも考えると、判断しやすくなります。

計算手順は次のとおりです。

  1. 自分で増設する実費=メモリ代+送料+必要な工具・保証サービス代-売却した旧メモリの手取り額
  2. 現金支出の節約額=購入時の変更差額-自分で増設する実費
  3. 時間換算後の節約額=現金支出の節約額-追加作業時間×自分で設定する1時間の価値

先ほどの条件付き例では、55,880円-44,880円=11,000円の差があります。追加費用と売却額は0円とします。さらに、時間の価値を仮に2,000円/時として計算した結果が次の表です。

追加作業時間時間の換算額時間換算後に残る節約額
1時間2,000円9,000円
3時間6,000円5,000円
5.5時間11,000円0円
6時間12,000円-1,000円

節約額が0円になる時間=11,000円÷2,000円/時=5.5時間です。調査・取り付け・確認に2時間使うなら、同じ基準ではトラブル対応に使える時間は残り3.5時間です。

ここで使った2,000円は、平均賃金や修理料金ではありません。判断しやすくするために置いた仮定です。自分で作業することを楽しめる人なら、時間を費用に換算しない考え方もあります。一方で、仕事用PCを納期直前に触る場合は注意が必要です。作業中にPCを使えない時間の影響も考える必要があります。

放置したまま実行できるメモリテストの待ち時間まで、同じ時間単価で丸ごと計算する必要はありません。作業時間と仕事停止による損失を両方入れる場合も、同じ負担を二重に数えないようにします。

専門店の工賃を比較:部品代だけでなく持込料にも注意

専門店へ依頼する場合も、工賃だけでは比べられません。部品持込料・診断料・配送費まで含めた総額で考えます。

窓口・サービス掲載されている税込料金見落としやすい条件
ツクモ:デスクトップPCのメモリ取付け通常3,030円/モバイル会員2,420円この料金項目はゲーミングPCを除外
ツクモ:ノートPCのメモリ取付け通常4,840円/モバイル会員3,870円この料金項目はゲーミングPCを除外
パソコン工房:メモリ増設・交換のeチケット3,500円部品代は別。外部で用意した部品は持込料がかかる場合がある

出典:ツクモ サポート料金表、パソコン工房 メモリ増設・交換サービス

パソコン工房の掲載条件では、同社以外で用意した部品を持ち込むと追加料金がかかる場合があります。プラチナITパスポート会員以外は、1点につき2,000円の持込料がかかることがあります。

たとえば、35,979円のメモリを他店で買ったとします。取付工賃3,500円と持込料2,000円がかかるなら、合計は41,479円です。これは条件付きの計算です。2枚組キットを何点として数えるか、ほかの作業料金が必要かは依頼先へ確認してください。

他店で安い部品を買って持ち込むより、取り付けを頼む店で部品も買ったほうが安くなる場合があります。チケットを買う前に、PCと部品の型番を伝えてください。受付できるか、総額はいくらかも確認します。

独自計算:将来64GBにするなら、あとから買う予算はいくらまで?

将来64GBが必要になると分かっているなら、32GBにした時点の安さだけでは判断できません。最終的に64GBへ増設するまでの合計費用を比べます。

ここでは先ほどのサイコムの変更料金を使い、最終的に「32GB×2枚の64GB構成」にする場合で計算します。

  • 購入時に64GBへ変更:標準16GB構成から+106,530円
  • 購入時は32GBへ変更:+55,880円。その後、64GBの2枚セットへ丸ごと交換

送料・工具代・作業時間・売却額を含めない場合、あとから購入する64GBセットの損益分岐価格は、106,530円-55,880円=50,650円です。

将来の64GBセット購入価格〈仮定〉32GB化と交換の累計追加額購入時に64GBへ変更する場合との差
30,000円85,880円あとから交換するほうが20,650円安い
50,000円105,880円あとから交換するほうが650円安い
80,000円135,880円あとから交換するほうが29,350円高い

これは、将来のメモリ価格を予測した表ではありません。「あとから買うなら、いくらまでなら得か」を判断するための試算です。50,000円で買えたとしても、差は650円しかありません。送料や工具代を加えると、結果が逆転する可能性があります。

交換した32GBメモリを売れれば、その手取り分だけ64GBセットに使える予算を増やせます。元の構成へ戻せるように保管するなら、売却益は計算に入れません。

4スロットのPCに16GB×2枚を追加し、16GB×4枚にする方法は別に考えます。新しく買う容量は少なくて済みます。ただし、次の項目で説明する4枚構成時の速度と混在条件を確認してください。

64GBを使う予定がまだ決まっていないなら、将来のためだけに先払いする必要はありません。「必ず必要になる容量」と「使うかもしれない容量」は分けて考えます。

安いメモリを買う前に、互換性を7項目で確認する

「DDR5で容量も同じ」というだけでは、使えるとは判断できません。PCの型番やメモリの形状、最大容量、枚数、動作条件まで確認します。

確認項目確認する内容購入ミスを防ぐポイント
PCの正確な型番シリーズ名だけでなく、製品番号・構成番号まで調べる同じシリーズでも増設できる構成とできない構成がある
DDRの世代DDR4かDDR5か世代が違うメモリは差し替え用に使えない
モジュールの形状UDIMM・SO-DIMMなど、機種が指定する種類小型デスクトップでSO-DIMMを使うなどの例外もある
スロットと現在の枚数総数・使用数・空き数・推奨装着位置タスク マネージャーの表示だけでなく、公式仕様や説明書とも照合する
最大容量PC全体の上限と1枚当たりの上限CPUだけの対応容量では判断しない。PC・マザーボード・BIOSの条件も確認する
速度・電圧・動作設定標準設定での動作とXMP・EXPO適用時を分けるパッケージの高速表記で動くには、対応設定が必要な場合がある
物理的な取り付けと保証ヒートスプレッダーの高さ、CPUクーラーとの干渉、保証条件部品が対応していても、手が入らない・カバーが閉まらない場合がある

メモリメーカーの対応検索や、マザーボードメーカーが公開する動作確認済みメモリ一覧(QVL)も参考になります。ただし、QVLに載っていない製品がすべて非対応という意味ではありません。判断に迷う場合は、PCとメモリの型番を販売店へ伝えて確認してください。参考:Kingston:メモリの搭載条件、CFD販売:メモリ増設の確認事項と手順

標準メモリの型番が分からないBTOでは、型番非公開の電源・SSD・メモリを使うBTOの確認方法も参考になります。

同じ型番の買い足しでも、セット製品と同じ保証にはならない

同じ速度・同じ型番に見えるメモリでも、別々に買ったキットを組み合わせた状態まで確認されているとは限りません。

CORSAIRは、複数キットを混ぜて使う場合の注意点を説明しています。同じ速度表記でも、動作が不安定になることがあります。XMP・EXPOを有効にできない、起動できないといった問題も起こり得ます。公称性能は、そのキットに入っているモジュールの組み合わせで確認されています。出典:CORSAIR:メモリキットの混在について

別売りのメモリが必ず動かないわけではありません。ただし、安定性を重視するPCでは注意が必要です。とくにXMP・EXPOを使う構成では、必要容量を満たす1組のキットへ交換する費用も比べておくと安心です。

DDR5を4枚に増やすと、容量は増えても速度が下がることがある

空きスロットがあっても、4枚構成で今のメモリ速度を保てるとは限りません。増設する前に、CPUとマザーボードの対応条件を確認してください。

AMD Ryzen 7 9700Xを例にすると、公式仕様ではメモリ2枚時と4枚時で最大対応速度が次のように分かれています。

メモリ構成公式仕様の最大対応速度2チャネル合計の理論帯域〈独自計算〉
2枚:2×1R/2×2RDDR5-560089.6GB/秒
4枚:4×1R/4×2RDDR5-360057.6GB/秒

出典:AMD Ryzen 7 9700X 公式仕様。1R・2Rは各モジュールのランク構成を表します。

理論帯域は「転送レート×8バイト×2チャネル」で計算しています。5,600MT/秒では89.6GB/秒です。3,600MT/秒では57.6GB/秒となり、この条件では約35.7%低下します。

約35.7%という数字は、メモリの理論帯域の差です。ゲームのfpsやアプリの処理速度が、同じ割合で下がるわけではありません。実際の動作速度は、CPU、マザーボード、BIOS、モジュール、設定によって変わります。そのため、4枚なら必ず3,600MT/秒で動くとも限りません。

容量不足が深刻なら、多少速度が下がっても容量を増やしたほうが快適になる場合があります。一方で、容量に余裕があるPCなら、空きスロットを埋めるためだけに4枚へ増やす必要はありません。

さらに詳しく比較したい方は、メモリ2枚挿しと4枚挿しの違いをご覧ください。

過去の実例から分かる「あとから買えば得」の落とし穴

あとから増設するほうが安いかは、過去の価格やブランドの知名度だけでは判断できません。実際に買う時点の価格と供給状況で比べます。

2017年の増設記録でも、BTOとの差が小さい例があった

過去の増設記事を見ても、「自分で取り付ければ大幅に安くなる」とは限らない例があります。

ちもろぐが2017年に公開した増設記事では、約11,000円のメモリを使っています。その結果、BTOのカスタマイズ料金と大きな差がなかったと報告されています。これは第三者による当時の購入・増設記録です。当サイトの実測値や、現在の相場を示すものではありません。出典:ちもろぐ:デスクトップのメモリー増設記録

この事例で見るべきなのは、当時の安値そのものではありません。PCを注文するときの変更差額と、その時点で買える市販メモリの支払額を毎回比べることです。

Crucialの事業撤退発表は、同じ製品を買い足す計画にも影響する

「今は1枚だけ買い、数年後に同じメモリを追加する」という計画には注意が必要です。将来、同じ製品を買えなくなる可能性があります。

Micronは2025年12月3日、Crucialの消費者向け事業から撤退すると発表しました。消費者向け販売チャネルへの出荷は、2026年2月末まで続けるとしています。Crucial製品の保証・サポートも継続する方針です。出典:Micron:Crucial消費者向け事業からの撤退発表

この発表だけで、流通在庫がすべてなくなったとは判断できません。既存製品の保証が終了したとも言えません。ただし、今買える製品を将来も同じ型番・同じ条件で買えるとは限りません。

数年後の増設を考えるなら、同じ製品を必ず買い足せるとは考えないほうが安全です。必要容量のキットへ丸ごと交換する費用も、予算に入れておきます。

メモリを自分で増設すると、PCの保証はどうなる?

「ケースを開けたらすべて保証外になる」「元に戻せば必ず保証される」とは一律に言えません。購入したPCに適用される保証規定を確認してください。

メーカー・窓口公式情報で確認できる内容増設する人への影響
ツクモ eX.computer自己判断で増設した部品が原因の故障・動作不良、相性や互換性に起因する症状などは保証・サポート対象外追加部品と元のPCのどちらが原因か、切り分けできるようにする
マウスコンピューター増設部品の接触不良、設定の誤り、改造、所定の指示によらないBIOS更新、OCなどによる故障・損傷は無償修理の対象外となる規定がある容量を増やす作業と、BIOS更新・OC設定変更を安易に同時実施しない

出典:ツクモ サポート情報、マウスコンピューター 標準製品保証規定

参照したマウスコンピューターの規定は、2026年4月23日以降の購入分が対象です。それより前に買った製品は、購入時の保証書面を確認するよう案内されています。ほかのメーカーでも、現在のWebページだけで判断しないでください。購入時に適用された保証内容を確認します。

交換前のメモリは保管しておくと役立ちます。搭載位置の写真や購入明細、増設後のテスト結果も残しておきます。元の構成へ戻したときに症状が出るか確認しやすくなります。サポートへ相談するときも、変更内容を具体的に伝えられます。

メモリ単体に長期保証・永久保証が付いていても、すべてが保証されるとは限りません。そのPCでの組み合わせ動作や作業ミス、PC本体、保存データは別です。保証される範囲と受付条件は分けて確認してください。

自分で増設する手順:取り付け前の記録から動作確認まで

メモリ増設は、差し込んだら終わりではありません。標準状態の確認、電源の切り離し、取り付け、動作確認までを一連の作業として行います。

以下は一般的な作業の流れです。実際には、PCメーカーの取扱説明書やサービスマニュアルの手順を優先してください。カバーの外し方やバッテリーの切り離し方、メモリの位置が分からない機種は、無理に分解しないほうが安全です。

手順行うこと注意点
1.元の状態を記録容量、枚数、速度、BIOS設定、搭載位置を記録する新品PCは標準構成で一度起動し、最初から不具合がないか確認する
2.データを保護重要ファイルをバックアップし、アプリを終了する暗号化しているPCは回復キーの保管場所も確認する
3.電源を切り離す完全にシャットダウンし、電源コード・ACアダプター・接続機器を外す内蔵バッテリーは機種の手順に従って無効化・切り離しする。通電中に抜き差ししない
4.静電気と作業場所を確認帯電防止用品を使い、安定した場所でカバーを開ける端子やチップに触れず、メモリの縁を持つ。電源ユニット内部は開けない
5.指定位置へ取り付け切り欠きとスロットを合わせ、説明書の方法で装着するロックが片側だけ動く製品もある。向きが合わないまま押し込まない
6.認識を確認カバーと電源を戻し、BIOS・Windowsで容量と速度を確認する初回起動でメモリの学習処理が走る場合がある
7.テストするメモリ診断を行い、普段使うアプリでも確認する再起動、スリープ復帰、重い作業中のエラーも確認する

一般的なデスクトップPCのDIMMは、スロットへ垂直に差し込みます。ノートPCのSO-DIMMは、斜めに差し込んでから倒す方式が一般的です。ただし、実際の取り付け方は機種ごとの手順を優先してください。参考:CFD販売:デスクトップ・ノートPCのメモリ増設手順

増設後は、容量が表示されるだけで完了にしない

Windowsが起動し、増設した容量が認識されていても、それだけでは高負荷時の安定性まで確認できたとは言えません。

Windowsでは、まず作業中のデータを保存します。そのうえで「Windowsキー+R」を押し、「ファイル名を指定して実行」を開き、mdschedを実行すると、Windowsメモリ診断を起動できます。診断では再起動が必要です。未保存の作業が残っていないことを確認してから実行してください。出典:Microsoft:Windowsメモリ診断による確認手順

診断後は、増設前に重かった作業を同じファイル・同じ設定で再現します。「アプリの切り替え」「編集中の引っかかり」「エラーの有無」などを確認してください。困っていた症状が改善したかを見ます。メモリ診断で問題が出なくても、すべての使い方で安定することまで保証されたわけではありません。

起動しないときは、学習処理を確認してから元の構成へ戻す

DDR5などでは、メモリ交換後の初回起動に時間がかかる場合があります。画面がすぐに出なくても、故障と決めつけないでください。電源のオン・オフを何度も繰り返すのは避けます。

ASUSは対象製品について、メモリ交換後などにメモリトレーニングが行われると案内しています。容量によっては、5~10分程度かかる場合があります。ただし、これはすべてのPCに共通する待ち時間ではありません。使っている機種の説明を確認してください。出典:ASUS:起動後に画面が表示されない場合の確認事項

案内されている待ち時間を過ぎても起動しない場合は、まず電源を切り離します。そのあと、メモリの装着状態と指定スロットを確認します。必要なら元のメモリ構成へ戻し、正常に起動するか確かめてください。

元の状態へ戻しても起動しない場合は、作業を中止してください。焦げたにおい、異常な発熱、物理的な破損が見つかった場合も同じです。購入店へ相談してください。原因が分からないまま電圧を上げたり、ほかのパーツまで外したりするのは避けます。

自分で増設しないほうがよいのは、どんな人?

節約できる金額が小さい場合は、自分で増設するメリットも小さくなります。対応するメモリを特定できない場合や、PCが使えない時間を作れない場合も同じです。購入時の容量変更や専門店への依頼を選ぶほうが現実的です。

自分で増設するメリットが小さいケース選びたい対応
必要なキットを買うと、BTOの変更差額を超える購入時変更や、同等性能の必要容量標準モデルと比較する
仕事の締め切り直前で、予備PCがない作業時期をずらすか、動作確認を含むサービスへ依頼する
バッテリーや大型クーラーの取り外しが必要で、手順に自信がない機種の増設サービスを扱う窓口へ相談する
現在のメモリに余裕があり、遅さの原因が別にあるCPU・GPU・ストレージ・アプリ設定を調べる
会社貸与PC、リースPCなど、自分の判断で変更できない管理者や契約上の窓口に確認する

自分で作業すれば、部品を自由に選べます。費用を抑えられる可能性もあります。その代わり、対応確認や不具合の原因調査も自分で行う必要があります。メモリの価格だけを見ても、本当に安いかどうかは判断できません。

購入前は、「今の枚数を確認する→必要な購入容量を決める→同じ最終構成で総額を比べる→作業時間と将来の交換費用を加える」の順に確認すると、節約するつもりだったのに支出が増える失敗を避けやすくなります。

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必要なメモリ容量、購入時の変更料金、増設しやすいPCの条件は分けて確認します。そうすると、自分に合った買い方を選びやすくなります。

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調査方法と主な参照情報

公式情報で確認した事実と、掲載された価格・仕様を使った計算は分けています。将来価格などを仮定した試算も、別のものとして記載しています。

価格比較では、税込価格・容量・規格・枚数を確認しています。BTOの変更差額と、市販メモリの購入代金も分けています。32GB化の比較では、異なるメモリ製品の価格例を使いました。そのため、部品や保証条件まで完全にそろえた比較ではありません。時間換算、将来64GB化の購入上限、理論帯域は当サイトで計算しました。





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